KJ法の汎用性・・・
そもそもは、創案者がそのフィールドワークのデータを有意義な研究成果へと導くために編み出した方法ですが、その専門分野や学術研究といった領域の枠組みを超えて、KJ法は豊かな汎用性を証明してきました。
地域のニーズをつかむ、顧客のニーズをつかむ、といった多数の人々の真のニーズの把握に。
商品や技術の開発に。
組織の内部の問題解決に。
教育・心理学・医療・看護・介護といったヒューマン・サービス領域での課題の不透明さや複雑さへの対応に。
アート・デザイン領域では、作品のコンセプトづくりや、自身の感受性の掘り起こし、まなざしの深化のために。
学術・研究での論文作成や、作品・表現の読解、あるいは個人の内面の問題探究に。
あるいは、私たちの日常に、ときに鋭く、ときにあいまいに降りそそぐ、種々雑多な情報の有効活用に。
このようにKJ法があらゆる領域に普遍的な威力を発揮し得るのは、川喜田二郎がこの方法を通じて〈科学〉の概念を塗り替えたからだと言うことができます。